ちょいと遅くなった帰り道。

「滝夜叉丸ー」

 背後から声を掛けられた。
 振り返えれば笑顔を浮かべた同級生。
 手を振りながら駆けてくる。

「奇遇だねーこんなところで」
「出かけてたんですか?」
「うんちょっと家に用があってね」

 大した用事じゃないけれど。
 彼は笑って呟いた。

「滝夜叉丸こそどうしたの」
「学園長先生のお使いで町まで菓子を買いに行かされて」
「ああ道理で。その包みからいい匂いするなあと思った」

 抱えた菓子に目を向けて。
 何かと無邪気に訊いてくる。
 饅頭ですと答えれば間髪いれずに美味しそう。

「今度その店教えてくれる? おれ甘いもの好きなんだよね」
「それは構いませんが、結構並びますよ。話題になっている店なので」
「へえー。話題になってるってことはすっごく美味しいんだろうなー」

 楽しそうに語る彼の顔。
 夕の闇に照らされて。
 帰りの小道も朱に染まり。
 もうすぐ夜になるのだと。
 思い知らされる心持。

「もうすぐ夜だね。月が出る前に帰りつかなきゃ……よーし走ろう!」
「ちょ、ちょっと待ってください! こっちは菓子を持ってるからそんなに走れな……って人の話を聞けよっ!」

 空を仰いで突然駆け出す。
 包み小脇にその背を追いかけ。
 続く小道に影が伸びゆく。
 何てことない帰り道。

 

 

 

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ちょっと違った書き方を目指したら短くなりすぎた…。慣れないことはするもんじゃないね!
どうも自分は夕焼け+帰り道というシチュエーションに弱いみたいです。