藤内が背にしているのはぐずぐずと沈んでいく夕日だった。
 土気色の守宮でさえ、赤く鈍く輝いて見える。
 孫兵が背にしているのは学園の僅かにくすんだ白壁だった。
 彼へと伸ばした指の先まで夕焼けに染まっている。
 まさかこんな日が来るとは思わなかったと藤内は呟いた。
 いつかこんな日が来ることを願っていたと孫兵は微笑んだ。
 掴んだ手首を引き寄せたのか。
 はたまた、
 掴まれた手首から手繰ったか。
 陽は地平に溶けきり、守宮は這い逃げた。


 笑う子どもらの声が聞こえる。
 喧噪は遠くない。誰かに見つかった時の言い訳は考えていない。