どうも藤内は頑張りすぎているような気がする。
 試験前だからって理由もあるかもしれないけれどそれにしたって。

「だって明々後日だろ、試験」
「そうだけど、もうちょっと気を抜いたらどう? まだ三日もあるのに」
「あと三日しかないんだ。ここで気を抜いたらまた成績落ちる」

 さっさと言って文机に向かう。難しそうな顔して、教科書と睨めっこ。ぼく常々思ってたんだけど、その顔藤内には似合わないと思う……って言ったって無駄かな。
 
 藤内は真面目だ。予習も復習も欠かさない。
 それなのに肝心の場面になるとそれが功をなさないというか報われないというか。緊張型というわけでもないのに、清清しいほど努力が空回る。

  ぼくだってそういうことあるけど、藤内ほど頑張ってない分痛みは少ないわけで。
 もしかしてぼくより不運なんじゃないの? なんて本人の前では口が裂けても言えないけど。

 ぼくは床の上に転がって、藤内の背中を眺めた。
 少し丸めて、気負った背中。
 
 姿勢悪いよと指摘したらああうんと生返事。でもちゃんと丸めていた背を正しているところが彼らしい。ほんとに真面目なんだから。
 
 頑張るななんて言わないけど、もう少しこう、色々緩めてさ。無駄に頑張りすぎてるから本番空回っちゃうんだよ。この前の試験だって解答欄ずらしちゃったりして、笑い種にしかならないようなことして。すっごい落ち込んでたじゃないか。

 これもやっぱり言えないけどね。
 いつだってぼくは背中に語りかけるだけ。

 うん、だけどこれだけは言わせて欲しい。藤内、また背中が丸くなってる。教科書と睨めっこしすぎだって。

 頑張るのはいいことかもしれないけど、もうちょっと他のことにも気を回しなよ。
 背筋、ぴんと伸ばしなよ。
 ぼくに指摘されなくなるくらいにさ。









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語っているのは一応数馬君です。まだ性格つかめてないので割と自由に書いてみたり。自由に書きすぎてほぼオリキャラ化してますが…。
この二人同室だったらいいなあ。