注)一応乱きりしん五年設定です。

 

 

 しんべヱにお団子を食べに行こうよと言われたから、いつもの仲良し三人組で峠の茶屋へと向かった。きり丸、わたし、しんべヱの順で座って、運ばれてきた団子をぱくりと食べる。

 団子の甘い香りが鼻腔をくすぐって食欲を促す。今日はしんべヱの奢りだからと、いつもなら出す銭を渋って少ししか頼まないきり丸も遠慮なく団子にぱくついていた。

「平和だねぇ」

 両手に団子の串を握りながらしんべヱが呟く。彼の視線の先を見てみると、青い空があって。のんびりと揺られる雲が、しんべヱの言う通り何とも平和そうでわたしもうんと頷いた。

「こんな日ががずっと続けばいいのにね」
「そうだね」

 団子を食べながら二人でそんな暢気な会話をしていると、不意にきり丸が頭を預けてきたのを感じる。肩の重さに隣を向けば、きり丸は安心したような寝息を立てていた。

「何だか全然喋らないと思ったら、きり丸寝てたんだ」
「昨日も遅くまでバイトだったみたいだからね。あー、もうきりちゃん重いよ」

 肩を動かそうとしたけれど、きり丸の寝顔があまりに平和そうだったので、何だか途中で可笑しくなってしんべヱと二人で声を立てて笑ってしまった。何でこんなことで笑えるのか、わたしも、恐らくしんべヱも分かってないと思うけど。とにかく笑ってしまった。

「世の中には」

 笑いすぎたのか、しんべヱの目蓋には薄く涙が溜まっていた。それを指で拭って、しんべヱはまだ笑いの余韻を残しながら呟く。

「世の中には、平和が溢れてるねぇ」
「本当に」

 わたしもひぃひぃ言いながら、こっくりと頷いた。

 わたしの肩に頭をもたれながら寝息を立てるきり丸も、いつの間にか空になっていたお団子のお皿も、笑いあう私たちも、空の青さも、流れる白い雲も、何もかもが平和。

 戦乱の世だというのに、私たちの周りにはこんなにも平和が溢れている。たくさんたくさん溢れている。

 例え、近い未来壊れてしまうものだとしても。

 平和が溢れているなんて実感ができなくなるぐらい壊れてしまっても。

 今わたしたちは何だか分からないくらい幸せで、空の団子の串を持ったまましんべヱと二人、いつまでもいつまでも笑い合っていた。

 

 

 

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きり乱を書くはずが、何故か乱きりしんのほのぼの話。でもこういう話書くの好き。
分かりづらいと思いますが年齢操作済みです。一応落乱を意識して書いているつもりなので、幼いときの乱太郎の一人称はぼく、成長したらわたしになるのかなーなんて思ってたり。